今日の一言 「Never late !」
by 野田直人
私は1993年から2年間オーストラリアのメルボルン大学に留学していました。農林学部の森林科学修士コースで、以前勤務していたケニアのプロジェクトの事例のレビューを修士論文のネタにしていました。(メルボルンに留学していた時の話はこちら)
私は元々農学部の出身ですから理系です。しかしメルボルン大学では、社会経済的な側面からのレビューをしていました。社会学も経済学もシロウトですから、かなり四苦八苦して修論を仕上げました。
指導教官は副学部長で、論文にコメントを貰うためには事前に秘書さんを通してアポイントをとらなくてはいけないような、偉い人でしたが、修論にOKが出た時に「それで、博士課程には進むかね?」とたずねられました。
私はもうかなり修論で煮詰まってしまっていて、もう当分研究生活は御免だ!と思っていましたから「いえ、現場に戻ります。」と答えました。
「そうか。ではいつか博士課程に進む時には、君はもう少し経済学と政治学を勉強しなさい。」
当時私は既に37歳。一般的には修士コースに入るのも遅いくらいでしょう。さらに博士課程に行く気になるのはいつのことやらわかりません。無論、「もう少し」と言われても、経済学や政治学を学んだことは全くありません。
「いや、全くバックグラウンドがありません。」と答えると…
「Never late !」
白状すると、この時にはなぜ経済学と政治学なのか、よく理解できていませんでした。
ところがこの後、現場に戻った私自身の仕事の方向性が、木を対象とする技術的なものから、人や社会を強く意識したものへと変わっていきました。自分が「木を見て人を見ず」だったことがわかってきたからです。
そして、やっとメルボルン大学の先生の「経済学と政治学」の意味がわかってきました。彼が勉強しなさい、と言っていたのは、「人を動かすもの」「人と人との係わり合い」のことだろうと思います。地位の高い学者さんですからそれが「経済学と政治学」という表現になったのでしょう。
やがて自分で勉強の必要性を感じ、勉強がしたくなって、タンザニアで勤務しながらイギリスのロンドン大学インペリアルカレッジの開発学の通信講座を受講しました。私はもう40歳を超えていました。仕事と重なって2年目の試験が受けられず、ついに卒業はできずに終わりましたが、体系的にまとめられたイギリスの大学のカリキュラムは、私には大きな糧になりました。
今、人の森では私が作ったインターネット上で動くプログラムも販売しています。「いつそんなもの覚えたんですか?」と聞かれますが、WEBプログラミングはここ数年の独学です。
何歳になっても学ぶことに遅いことはありません。興味を持ち、必要を感じたら、その時が学ぶ時だと思います。
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