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人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2008/03/14号

マラウイ訪問記 その1

by 野田直人

今年1月から2月にかけて、国際協力機構(JICA)の仕事でマラウイを訪問して来ました。その時の話を数回に分けて書きたいと思います。

まず「マラウイってどこだ?」と思われる方が多いのではないでしょうか。アフリカによほど詳しい人でない限り、マラウイの位置を正確に説明できる人はほとんどいません。

マラウイは東アフリカ、タンザニアの南にある内陸国です。大地溝帯に沿った細長い国で、ここにあるマラウイ湖は珍しい熱帯魚の産地として好事家の間では有名だそうです。

と言っても、私の仕事は熱帯魚探しではありません。

マラウイの首都はリロングウェですが、現在でも商都として元気なのは、ブランタイアという地方都市です。

ブランタイアの近くにシレ川という大きな川が流れており、ここに発電用のダムや、ブランタイアへ水を供給する取水口があります。

発電用のダム、と聞くと日本人が思い浮かべるのは黒部川のいわゆる黒四ダムなどでしょうか。人のいない山奥に聳え立つ巨大な壁のようなダムですね。

ところがマラウイでは事情は全く違います。ダム湖の上流は急峻な山ばかりではなく、緩やかに起伏した農村地帯が広がっているのです。そこでは大勢の人たちが生活を営んでいます。

人口が増えるに従い、開拓される土地は広がり、森林は減少します。さらに傾斜地の農地は雨による浸食にも弱く、そこから流れ出した土砂がダム湖に貯まり、大きな問題になっているのです。人が住んでいる地域ですから、単純に「植林して水源林にしてしまえ」というわけにはいきません。

つまり、ここでは農業を中心とする人々の営みを持続する一方で、土砂の流出を抑えることが大きな課題になっているのです。

日本と違って、政府が大規模な土木工事を行って農地改良をすることはできませんから、住民の自助努力に期待するしかありません。でも「ダム湖を守るために頑張ろう!」では地域の住民には全くアピールしません。

なぜなら、貧困状態で余裕がないのに加えて、この地域の住民の大部分は電気の恩恵を受けておらず、水道も来ていない生活を送っているのですから。いわばダム湖は他人事。

でも住民だって、自分の畑の土が流れてしまっていくのを愉快に思っているはずはありません。生産基盤である土壌を守ることは住民にとってもまた関心事です。

ただ住民にとってそれは、自分の生活改善の中での問題の一つであり、政府の担当役人のように、土壌侵食を止めることだけを考えれば良い、というわけにはいきません。

そこで土壌問題も住民生活改善の中で考えられるようなアプローチをとろう、ということになり、採用されたのがPRODEFIモデルと呼ばれるアプローチ。これは私がセネガルにいた時に考え出したアプローチですので、マラウイでの試みもお手伝いすることになったわけです。

PRODEFIモデルに関しては、JICAのサイトで動画での紹介を見ることがで きます。

次回はマラウイの現地の様子を紹介します。

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