良書紹介「ソーシャルデザイン・アトラス 社会が輝くプロジェクトとヒント 」
山崎亮 著
山崎亮 著
by野田さえ子 (国際協力コンサルタント・中小企業診断士)
https://honwoyomu.com/books/4306045803.html
著者の山崎氏は、もともと建築家であるが、人や社会、コミュニティを活かすデザイナーでありファシリテーターであり、エデゥケーターである。
この本はかなりの情報量と知恵がつまっている。
最初に、ソーシャルデザインを取り巻く状況やソーシャルデザインの歴史、ソーシャルデザインを考える視点など、概論がまとめられている。
本のメインは、アフリカからアメリカ、日本の東北までのソーシャルデザインの54事例。写真と簡潔にまとめられた文章の質には圧倒される。
例えば、
地産煉瓦で、「建てながら学ぶ」学校(ブルキナファソ)
コミュニティを結束させる麦わら住宅(ネーティブアメリカン・アメリカ)
みんなで増築する公営住宅(チリ)
バリアを克服する車いす(アメリカ)
住民が修理できる石と竹の橋(中国)
など、など。
ソーシャルでいて、機能的で、とても美しい。
私のお気に入りは、コミュニティとともに成長する職業訓練センター(カンボジア)。色彩もさることながら、地域とともに生き続ける、職業訓練センターというコンセプトがいい。
それから、廃棄された車のフロントガラスを使って建てられたコミュニティの教会。フロントガラスの壁が、全体のデザインがとても美しい。
ところで、山崎氏がソーシャルデザインの思想的な背景として挙げた3冊の本のうちの1冊が、国際協力関係者にはよく知られているパウロフレイレの「被抑圧者の教育学」であった。
ふーん、こんな本も読んでいたのか。驚いた。
自分自身も、研修講師としての仕事をこなす日々だが、ソーシャルデザイナーとして、「未来を創る」カリキュラムをデザインしていきたいと感じた。
本の詳細→ https://honwoyomu.com/books/4306045803.html