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人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2018/1/11-1号

コラム 「年齢と共に」

by 野田直人

今年の1月15日に、私は還暦を迎えます。22歳の時に青年海外協力隊に応募した時から始まった国際協力の世界での仕事は、38年間にも及んでしまいました。「人の森通信」の読者の年齢層は幅広いですが、私自身歳を重ねて何を考えるようになったかを今回、書いてみたいと思います。

青年海外協力隊員としての勤務、そしてJICA専門家としての勤務が始まった当初は、自分自身は途上国の現場担当として、何歳になってもずっと最前線で働くものだと思い込んでいました。

ところが、40歳を過ぎるあたりから、JICA専門家としての職種もプロジェクトのチーフアドバイザーなど、いわば管理職のような立場へと変わっていきました。 若いころは自分がそのような立場になるとは想像していなかったのですが、国際協力の現場であっても年齢や経験相応?の役割分担を求められるようになってきました。

また、悲しいことに歳を重ねるに従い、体力も下降線。以前は嬉々としてアフリカ行きの飛行機に乗っていたのが、「アフリカは遠いなあ。」「アフリカまで乗り換え2回はきついなあ。」「ビジネスクラスじゃないと体がもたないよ。」と
いうようになってきて、現場周りをしても若いスタッフのような機動力はなくなってきました。

無論、60歳を超えてもアフリカに駐在したり、飛び回っている人も大勢おいでで、私自身それができないわけではありません。ただ、私の場合は「年齢と共に役割が変わってきた」というのが実感でした。

「現場の仕事は若い人に任せるほうが効率が良い」「自分が直接赴任するよりも、アドバイザーに徹するほうが多くの事例にかかわることができる」そして何よりも「自分が赴任しても一つの案件にしかかかわることができない。自分のノウハウを他の人に伝えるほうが貢献度が大きい」と考えるようになりました。

これが現在、私がJICAの研修員受け入れ事業、人の森国際協力カレッジ、日本福祉大学大学院などで人に教える仕事を選び、そして「国際協力の教科書シリーズ」の出版を続ける背景となっています。

ただ、教える仕事も60歳はまだしも、70歳になったらどうでしょうか。20代の若者は70歳の人から何かを教わりたいと積極的に思うでしょうか。教える側も現場を離れて話に新鮮味がなくなり、だんだんと「昔話」になっていってし
まいそうです。そうなる前に、伝えられるだけのことはできる限り大勢の人に伝えておきたい、それが今の思いであり、60代に足を踏み入れる今年の豊富です。

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