マラウイ訪問記 その2
by 野田直人
マラウイに来て思ったのは「意外に道路網ができている」ということでした。もちろんこれは「アフリカのスタンダード」で考えてのことで、ほとんど車が通らないような細い山間の道でも舗装されている日本と比べないでください。
マラウイでは都市を一歩出れば、舗装されているのは限られた幹線道路くらいなのですが、人が住んでいるところであれば、舗装道路から分かれる未舗装の道がかなり網の目のように入っています。
場所によっては雨季にぬかるんで通行が困難になるところもありますが、今回のプロジェクトの対象地域では、長期的に陸の孤島となるようなところは多分ありません。
そしてもう一つ大きなポイント。今回の対象地からの最寄の幹線道路沿いには、ローカルではありますが比較的大きなルンズというマーケットのある町があります。さらに、大都市のブランタイヤまではバスで30分ほどの距離です。
つまり、農村という生産地域の近くに、市場や消費地域が存在している、ということですね。これは農村開発を考える上ではとても大きなメリットです。
では村の人たちはどのように暮らしているのか?詳しい生計の調査をしたわけではありませんが、多くの人たちは自作農です。
土地の所有は伝統的なチーフ(族長)に権利がありますが、利用権は比較的平等に配分されています。大土地所有者と小作農、という図式はこの地域では見られません。利用している土地の面積は1ヘクタール前後が多いようですが、地域内でも若干の違いがあるだろうと予想しています。
多くの人たちは主食であるトウモロコシを中心に、イモ類、豆や野菜などを栽培し、自給に用いる他に販売もしています。
では、このあたりの人々の農産物販売による収入はどれほどでしょうか。もちろん農地面積などにより違いがありますが、大体のイメージができる話をしましょう。
この地域に数年前に今回のプロジェクトに先行する形でJICAの援助が入りました。その時に供与された手動式のポンプを使って、川の近くでグループで灌漑をして野菜を作っているところがあります。
このグループは野菜を売った収益をプールして、自分たちでマイクロ・クレジットを立ち上げています。それはそれで興味深いのですが、3年間かかって貯めた資金はいくらだと思いますか?
7千円です。20人くらいのグループで3年間で7千円。
それでもグループのメンバーはここからお金を借りて、小さなビジネスの原資にしています。
日本なら、ちょっとリッチに夕飯を食べて一杯やったら、20人が3年間で貯めたお金が吹っ飛んでしまいます。
7千円でも、無論この地域の人たちにとっては価値ある資金です。しかし、この地域の人たちも昔ながらの自給に頼る生活だけをしている時代ではありません。
子どもの教育、医療サービス、そして多少はマーケットで売っている消費財だって手に入れたいもの。
マラウイも他のアフリカ諸国の例に漏れず、AIDSの蔓延で多くの人たちが亡くなりました。村に行くと、両親が死んで孤児になった子どもたちのための施設をいたるところで目にします。そのような子どもたちは、村人の助け合いで養われているケースが多いです。
伝染病と闘い、子どもたちを養い、できれば教育を受けさせる…今までの経済レベルではとても対応ができない。つまりは貧困レベルから抜け出すことが困難であることが予想できます。