人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2017/12/05号

コラム なければ作ってしまえ

by 野田直人

先日、僕の出身高校の同窓会総会があり、幹事学年にあたった僕らの学年の代表
として講演を行う機会がありました。話の内容は、アフリカから故郷に帰って来て、故郷の良さを発見する、というようなことです。

その時に話したのが地域の宝探し。これは、開発協力における地域おこしの講義でも取り上げている題材ですが、地域にないものをどうしようと考えるのではなく、あるものをどう生かすか、どのような機会に繋げるかを考えようというものです。

ところが、残念なことに、せっかく見つけた宝であっても外から人を呼べるほどのものではなかったり、あるいは経済活動に繋がるものでなかったりすることもあります。宝探しは、人の気持ちを元気にするところまでは確実にできると思いますが、地域の発展に繋がるかどうかは、外部の市場次第という面も否めません。

「経済活動に繋がる宝が見つからない」という場合には「宝探し」をさらに進めて「宝作り」をすることを考えるほうが良いかもしれません。

例えば鳥取県の境港市。地域おこしを考えていたところ、たまたま漫画家の水木しげるさんの生地だったというお宝を発見。でも、「水木しげるの生地」だけではどうしようもありません。そこで、電車も通りも鬼太郎をはじめとする妖怪で埋め尽くし、さらには老舗の和菓子屋さんは「妖菓目玉おやじ」という饅頭まで作ってしまいました。
http://www.kenkyujo.jp/index.html#medama

残念ながら、水木しげるの生地ではなかった地域でも、新しいものをクリエイトして地域おこしを行っているところはたくさんあります。

例えば三重県多気町の「せいわの里 まめや」。http://www.ma.mctv.ne.jp/~mameya/
ホームページを見るとわかりますが、地域のおばちゃんたちがずらりと並んでいます。地域のおばちゃんたちを中心に、豆を中心にした田舎料理のお店を開いて大人気です。しゃれたイタリアンでもフレンチでもありません。1200円の地元野菜料理バイキングを目当てに、遠方からもお客さんが車で次々にやってきます。

ただ、途上国からの研修員を「せいわの里 まめや」に連れて行っても「肉もないのに1200円もするの…」という感想を持たれてしまいますが。

もっと有名な例だと、フラガールで知られる福島県のスパリゾートハワイアンズ(旧常磐ハワイアンセンター)。消えゆく炭鉱に変わるものは何かと考えて発想されたもので、炭鉱の副産物であった温泉水を利用したものです。炭鉱の町をハワイアンに変えるのは、いささか賭けに近い気もしますが、その結果は皆さんもご存知のことでしょう。

無論、ちょっと残念なケースもあります。その筆頭が岐阜県旧板取村の「板取スイス村」。役所や消防署までスイス風になっている板取の、やはりスイス風の山小屋風中学校は、生徒数が減って先日廃校になってしまいました。

僕は板取が大好きで、年に数回家族と一緒に出掛けますが、別に「スイス村」である必要は全然感じていません。あるいは、もっとべたに「板取自然村」とかやっていた方が、集客はできたかもしれませんね。

でも、そのちょっと残念な板取の中にある民宿「山の宿ひおき」。
http://www.ccn.aitai.ne.jp/~hio-kao/
年に何度も行く我が家の常宿ですが、ホスピタリティと料理、そして宿の居心地の良さには飽きません。友人にも紹介しましたが、皆さんリピーターになっています。独りよがりでない価値をクリエイトすることさえできれば、多少不便なところであっても人は来るという、良い実例だと思います。

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