ゴールを決めろ
by 野田直人
3月23日NHKの番組「プロフェッショナル」を見ました。登場したのは、サッカーの三浦知良選手。43歳の現在も現役としてJリーグでプレーしています。
三浦選手のポジションはフォワード。得点を入れることでしか評価は受けられません。他に自分よりも得点力のある選手がいれば、自分には出番はありません。
一方、国際協力の世界。僕がスピーカーを務めたあるセミナーでのおり。聴衆の中の一人の若い男性から「なかなか自分の意見を認めてもらえない」という相談?が出ました。僕が答えたのは
「まず成果を出してください。」
そうしたら、コメンテーター役のSさんから「野田さん、何が成果なのか、野田さんが明確にしてあげてください」と言われてしまいました。開発協力は、どこに向かってシュートしているのか、多くの人がわかっていない世界なんでしょうね。
僕が成果と思うのは、決められた計画通りに物事を進められることではなく、誰もが「これは成果だ」とわかることです。それはサッカーのゴールと変わりありません。僕が「これはゴール」と決めるのではなく、ゴールは誰が見てもゴールなのです。「評価の指標と照らし合わせて…」なんてしなくても、「これは成果だ」とわかる、それが本当の成果です。
サッカーで選手がゴールを決めれば、歓声が上がります。味方の選手やサポーターが喜びにはじけ飛びます。
それがゴールですし、そのゴールを決めるのがプロのフォワードに求められていることです。
決められた手順でゴールにボールを蹴り込むのは練習メニューでしかありません。 決められた通りのゴールでは、歓声は上がりません。称賛も得られません。どんなに練習の時にうまくても、実戦で得点できない選手は起用されません。
開発協力の現場はサッカーの試合と同じです。相手はどのように動くかわかりません。いくら練習を重ねても、練習の時の得点パターンは通用しません。
その中でどのようにゴールをするのか。そして、誰もが歓声を上げるゴールをするのか。
しつこいようですが、ゴールとは、歓声が上がることです。歓声が上がることをして初めてプロとしての成果になります。
まず必要なのは、計画で決められたゴールではなく、そのもっと先にある、歓声の上がるゴールを見定めることです。
バングラデシュのグラミン銀行を創ったユヌス氏。もしユヌス氏が「バングラデシュから貧困をなくす」ことを自分のゴールにせず、「この村から貧困を減らす」にしていたら、はたして今のグラミン銀行は存在していたでしょうか。
皆さん、欲を出しましょう。歓声が上がるような高いゴールを目指してドリブルしましょう。そして、何本も何本もシュートしましょう。