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人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2007/07/27号

NGOによるインターネット・ビジネスへのアドバイス

by 野田直人

 当社主催の講座を受講されて、早速実行に移された山内さん。2007/07/07号に早速投稿をいただきました。e-ボランティア団体 in-for のサイトを運営されています。

 このサイトを例に、NGOの資金源としてインターネット・ビジネス、特にアフィリエイトやドロップシッピングを利用する場合の留意点を説明したいと思います。

 まずインターネット上で買い物をしていただき、その利益を活動資金にする、ということですが私自身、Developing Worldで実施しています。そこそこの可能性はある、と思います。

 その一方で、難しい面がいくつかあります。

 インターネット上での買い物といっても、 in-for のサイトで利用されているのはドロップシッピングやアフィリエイトなどのサービスかと思います。いずれも他店の商品を紹介して紹介料、あるいは販売代金との差額を受け取るものです。

 これらは自分では仕入をせず、在庫を持たずに商品の販売ができますから、在庫管理や売掛金・買掛金の扱い、発送や返品処理の手間もありません。つまりは低コストかつほとんどノーリスクというのが利点です。

 その代わり一商品あたりの利益率は低いですから、まとまった金額を得ようとすると、一般の商店以上に商品を売らなければなりません。楽に利益が出ることは事実なのですが、まとまった利益は簡単には出ないのです。

 まず、活動費がどれくらい必要で、そのどれくらいをインターネット・ショッピングからの利益でまかないたいのかをあらかじめ考える必要があると思います。

 例えば年間50万円が必要だったとしたら、利益率を平均5%と考えると、年間に1千万円を売り上げるサイトが必要になります。

 in-for の活動に賛同する人がもし増えたとしても、その人たちに1年間で1千万円分の商品を購入してもらうことは可能でしょうか?それが不可能なら、現実的なプランに考え直さなくてはなりません。

 収益の柱を見直してネットショッピングへの期待を下げるか、あるいは、購入者の想定を賛同者だけに限らず、賛同者以外の人でも購入できるような仕組みにするか、です。

 次に in-for モールのテクニカルな面です。ここには色々な商品が並んでいますが、では in-for の活動に賛同する、ある特定の人が買いたい商品はあるでしょうか?

 実際には多分ほとんどないことでしょう。世間での人気商品が安く手に入っても、それは必ずしも特定の人が欲しい商品ではありません。そして不要な商品を購入してまで寄付をしたいと思う人はあまりいないでしょう。

 そうであれば、このようなモールは次の二つの内、どちらか一つの機能に絞り込むほうがよいでしょう。

1)賛同者がネットショッピングをするための入り口
 具体的には、ネットショッピングでよく利用される店舗へのリンクや、検索ボックスを掲載しておきます。ここからのリンクでお買い物してもらえば、手数料が入る仕組みにします。

 アマゾン、楽天市場、ユニクロ、ベルメゾンなど、数多くの商品を選ぶことができる多数の有名店へのリンクを作っておきます。こうすれば、支援者が買い物をしやすくなります。例えばアマゾンをよく利用する人がいれば、毎回利益に協力していただくことができます。

 つまり、いずれにしろネットで買い物をする支援者に、このサイトを経由するという一手間をお願いするわけです。

 ただし、このような構成にすると、支援者以外の人への売上げはほとんど見込めなくなります。なぜなら普通の人がアマゾンで買い物をしようと思ったら、まっすぐにアマゾンのサイトへ向かうからです。ですから支援者が少ない内はほとんど利益が見込めません。

2)賛同者以外が買い物をしてくれるサイト
 支援してくれる人か否かにかかわらず、買い物をしてもらえれば、利益は活動費にあてることができます。その場合に必要なのは、一般の店舗と同じように、人を集める工夫と売る工夫です。

 インターネット上では、大手の通販サイトでない限り、雑多なカテゴリーの商品を並べても人はほとんど来ません。商品のカテゴリーを絞り込み、キーワードを絞り込んで、特徴のあるお店にする必要があります。

 in-for の場合は、サイトの特徴から言って、エコ・グッズなどに特化するのが面白いかもしれません。

 その場合には、ショッピングコーナーのタイトルに「in-for」という言葉は使わないようにします。検索エンジンで「in-for」という言葉を探してショッピングをする人はいないからです。

 一般の方をターゲットにする場合には、サイトのタイトルはストレートに商品に関するものにする必要があります。「エコ・グッズ」を紹介するのであれば、「エコ・グッズ」をタイトルの中に入れるのです。

 こうすれば、検索エンジンなどで見た場合に、「エコ・グッズ」を探している人の目にとまる可能性がずっと高くなります。(ただしエコ・グッズというのは例として出しているだけで、エコ・グッズというキーワードで検索をかけている人が多いか少ないかは調べていません)

 検索エンジンからの訪問者を期待する場合には、消費者が検索エンジンで使うキーワードを想定したサイトの構成を心がける必要があります。

 「トイザラス」とか「アマゾン」クラスになれば店名で検索をかける人も相当数にのぼりますが、小さなお店は、メジャーな雑誌で紹介されたりしない限り、店名や組織名を表に出してもインターネット上での集客は見込めません。

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