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人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2007/09/11号

本の紹介 「もう、国には頼らない。経営力が社会を変える」

by 野田直人

「もう、国には頼らない。経営力が社会を変える
渡邉美樹著 日経BP社

この本は、居酒屋ワタミ・チェーンを経営するワタミ・フーズの社長、渡邉美樹氏の著書です。

かいつまんで言えば、この本で主張されているのは、「公的サービス」と考えられている教育、医療、介護、環境などの分野を「官」に主導させるよりも、民間企業の経営力を使えばさらに高品質のものを、しかも黒字で成り立たせることができる、というもの。官はセーフティネットや最低限のルール作りなどに徹すれば良い。

私はこの主張に全く賛成です。渡邉氏は「官のコントロールが強いところほど経営の概念がない」と指摘しています。

これは私が係ってきた国際協力の分野でも同様。この分野ではマネージメントという言葉は、工程管理とほとんど同義になってしまっています。つまり、役所の仕事のようにあらかじめ決められたことを粛々と進めるだけ。

採算性、効率性、不確実性、多様性、そして時の流れによる変化は、全くと言って良いほど考慮される余地がありません。

この本で渡邉氏は経営力を使って学校法人、医療法人、そして老人ホームなどを黒字化し、しかもレベルの高いサービスを提供するところまで持っていくことに成功しています。

氏はもちろんそれ以前に外食産業でも大成功を収めていますから、畑違いと思われる複数の分野で事業を成功させていることになります。

氏はどの分野でも経営の本質には変わりがないことを見抜いています。その要点は二つ。

一つは顧客の満足度を指標にするということ。もう一つはそこに向かってチームメンバー(社員や教員、職員)が自ら力を出していけるように工夫すること。

国際協力も全く同じだと思います。

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