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人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2007/09/21号

今日の一言 思い込みを捨て思い付きを拾う。

by 野田直人

 NHKに「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組があります。タイトルからすとるビジネス番組に思えますが、登場するプロフェッショナルは多種多様。職人さんや学者さんまで出てきます。

 生命の起源を探る研究をしている生物学者、長沼毅さんが言っていたのがこの言葉、「思い込みを捨て思い付きを拾う」。

 思い込みがあると、あらかじめ決められたことしかできず、チャンスを見失う。

 思い付きは過去の経験が自分の中で熟成してふと飛び出してくるもので、理由があるもの。

 もちろん思いつきのすべてが有効であるわけではありませんが、どこの世界も同じだなあ、とつくづく思います。

 私が提供している講座の中では「仮説の洗い出し演習」というのを行います。これはまさに、自分の中の思い込みを洗い出す作業です。

 国際協力の世界では「○○手法」や「○○アプローチ」が跋扈していて、そうしたものを開発し、すべてにあてはめて物事を進めようとすることが非常に多く見られます。

 「なぜそれが有効だと思うのか」その前提になっているものをブレインストーミングで洗い出すと、シロウトであっても前提が成り立っていないことに気がつくことができます。

 思い込みを排除することの意義は、国際協力の分野においては、無駄を減らす、ということに繋がります。限られた予算、限られた期間で実施されるプロジェクトでは、最初から無駄だと判断できることをする余裕は本来ありません。

 一方未知の環境で成果を出す、ということは、実は「思い付き」の世界に入ってしまうことだと思います。「思い込み」はロジックで排除できても、「思い付き」をロジックで得ることはできません。

 当社のインターネットビジネスが大きく伸びたのも、実は思い付きでした。当時は起業しておらずまだ個人でしたが、あることを思い付いて実践して見たら、「ビッグ・サプライズ!」がやってきました。それは後に「ロングテール」という名称を与えられるものだったのです。

 その思い付きの背景となったもののひとつは、マーケティングではなく、プログラミングの知識でした。林業から始まる私のキャリアのどこを見てもプログラミングとの接点は見つからないと思いますが、個人的に興味を持って少し勉強したものです。

 良い思い付きは、多様な知識と経験の中から生まれてくるのではないかと思っています。

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