人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2009/09/16号

徳島上勝町「葉っぱビジネス」~本当の成功理由とは

by 野田直人

先日紹介した本「そうだ、葉っぱを売ろう!過疎の町、どん底からの再生」の舞台、徳島県上勝町へ行ってきました。まさに葉っぱビジネスで有名になった「いろどり」の事務所を訪問するためです。12月にJICAの研修員を受け入れていただく予定なので、その打ち合わせです。

株式会社いろどりは、事業として研修の提供を行っており、コンテンツや英語版の資料も既に用意されていますので、「お任せする」ことも十分可能で、それならばわざわざ愛知から徳島に出かけて事前に打ち合わせる必要はありません。

今回わざわざ足を運んだのは、研修の中のフォーカス・ポイントを明確にお伝えしておきたかったからです。

上勝町の葉っぱビジネスが語られる時、よく言われるのは「どこにでも探せば資源はある。自分の村の資源をよく見なおそう」ということです。JICAは上勝町の事例を紹介するビデオ教材も作っていますが、強調されているのはこの点です。

ところが、「そうだ、葉っぱを売ろう!」の中で語られている話では、現いろどり代表の横石さんが葉っぱを見つけられたのは、大阪の寿司屋さんであって、上勝町の山の中ではありませんでした。

つまり、自分の町を眺めていて葉っぱビジネスを見つけたのではなかったのです。

横石さんが大阪の寿司屋で見つけたのは、葉っぱの商品性・市場性であって、葉っぱそのものではありません。

一方、国際協力の現場で良く行われているのは、援助対象となる地域やグループの中から、先に商品を選ぶことです。そして、その商品の品質向上や生産体制の確立を行ってから、販売先を探します。

その結果、現場でよく聞く話は「売り先があまりない」「販路を見つけるのが課題だ」ということです。

冷たいようですが、多くの場合、販路が見つけられる可能性はほとんどありません。投資は無駄に終わります。

問題は、市場を全く見ずに商品を選び、生産体制を整えてしまうところにあります。

村の人たちは、援助する人たちが「この商品が良い」と言ったのを聞いてそれを真に受け、売ってくれるものだと思いこんでいますが、援助をする人たちは市場の代表ではありません。

本来しなければいけないのは、市場の中で売れる物を探すことです。マーケティングは、先に「これだ」と決めた商品を売り込むことではありません。マーケットを知り、マーケットに合った商品の選択や開発を行うことです。

今まで徳島のいろどりを訪れた多くのJICA研修は、多分、「村の中で資源を探す重要性」を強調していると思います。ですから、多分、こちらから研修生に知ってもらいたい焦点の違いを明確にしておかない限り、今までの研修を踏襲して「身近にある資源を探そう」が中心になってしまう可能性が大です。

自分の山をいくら眺め、葉っぱを見ていても、葉っぱビジネスは生まれません。

今回わざわざ徳島まで足を運んだのは、市場を見ることの重要性や、市場の情報に村の人たちが接して、自分で判断することの重要性を強調していただくよう、お願いするためでした。

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