人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2012/06/08号

 不思議の国マダガスカル by 野田直人

by 野田直人

今年から5年間の予定で始まった、マダガスカルの環境保全と地域開発を目指す プロジェクトに、コンサルタントとして参加しています。今年度は3度マダガス カルへ渡航する予定ですが、4月から5月にかけてのべ35日間マダガスカルへ 出張してきました。

大陸アフリカとは違う、とは聞いていたものの、訪れてみると、確かに「ここは いったいどこ?」の世界が広がっていました。

緩く起伏する中央高地。首都のアンタナナリボから車でプロジェクト本部のある アンバトドランザカまで7時間余りかかるのですが、その間両側に見える丘陵地 域はおおむね禿山。あちらこちらに地滑り上に斜面が崩落したラバカが見られま す。

木に覆われた山があると思うと、そこに生えているのはほとんどすべてがユーカ リ。マダガスカルと聞いてイメージする、キツネザルが住む太古の森も、バオバ ブの林も、そこには何もありません。

山のふもと、水のある所は可能な限り水田が作られ、一見その風景は日本の里山 とよく似ています。日本の里山ならドングリの仲間とかが多く生えているところ でしょうが、それがすべてユーカリになっているところを想像してもらえれば、 風景のイメージはできるかもしれません。

マダガスカルの主食はコメ。日本のものとは違い、パラパラの長粒米です。マダ ガスカルの人たちは、昔の日本人のように、とにかくコメ。コメが食べられない と貧乏だと思われ、またコメが底を付く季節にだけイモやキャッサバなどを仕方 なく食べる所は、やはり昔の日本によく似ています。

そして昔、コメが日本の経済の中心であったように、マダガスカルでも田舎では 未だにコメが経済の中心。人はコメのために働き、小作は地主にコメで支払いを 行います。

アフリカ大陸では多くのケースで土地は部族や首長の所有に属します。そしてコ ミュニティのメンバーに対して、村長などが土地の権利を割り振ります。もちろ ん貧富の差はありますが、多くの人は自分の土地を所有することができます。

ところがマダガスカルでは、聞いた限りにおいてはそのようなシステムは存在し ていないようです。土地は国有地でなければ、個人あるいは法人が直接所有しま す。フクタンと呼ばれる村や、コミューン(郡)はありますが、そうした公的機 関は土地の売買には全く関与しません。

ですから、当然、金持ちは土地を買い足し、貧困層は土地を手放す、ということ が起きています。

もう一つの特徴はビジネスが盛んなこと。貧しい人たちほど、コメを買うお金を 得るために、小さなビジネスに精を出しています。中にはゴザやカゴを編んだり、 魚をとったりしている人たちもいますが、多くの人たちは商品の売買を通してい くばくかの収入を得ています。

例えば周辺の村の人たちが集まるという、ムララノクロムの町の木曜市。蜂蜜を 売っていたおばさんに話を聞いてみると「蜂蜜の原価はわからない。だって私は 最初に蜂蜜を買った人から数えて3番目だから。」

つまり、生産者である村の人が直接市場で販売しているとは限らず、どこかで農 産物などを仕入れてきて販売することで生業を得ている人が多いのです。無論、 自分の畑の野菜などを直接売っている農家の人もいますが、その多くは、近隣の 農家からも産品を仕入れて市で売っているそうです。

普通の車では入れず、雨季には孤立するだろうと思われる山奥の村。そこまで業 者がコメを買い付けに来る、と聞いたので、一体どうやってたどりつくのか不思 議でした。ところが聞いてみると、自転車で買い付けに来て、自転車にコメの袋 を縛りつけて持って帰るとのこと。自転車では重いコメ袋なら2袋が限度かと思 いますが、大手の業者がドンと買い付けるわけでは必ずしもなく、数多くの非常 に零細な業者が僅かばかりの商品を扱って、利ざやを稼いであるのが実態のよう です。

このような条件下で何をしたらプロジェクトは成果をあげることができるのか。

マダガスカルの話は以下のブログにも掲載しています。

http://madagascar.find-africa.com/

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