人の森国際協力>>アーカイブス人の森通信2011/1/11号

シリーズ 社会的企業家 野老真理子社長に学ぶ
第一回:定期的に入るキャッシュポイントを確保すべし!

国際協力コンサルタント・中小企業診断士 野田さえ子

ソーシャル・ビジネスと聞くと、「ソーシャル」に惹かれますか?
「ビジネス」に惹かれますか?

と振っておきつつ、今日は「ビジネス」の話しをします。

というのは、ソーシャル・ビジネスにチャレンジされる方の中に、「ソーシャル」 への思いが強く、「ビジネス」は苦手とされる方のお話をよく聞くからです。

特に、国際協力の分野からソーシャル・ビジネスを個人で立ち上げたいと感じている方にその傾向が強いような気がします。

今日は、そのビジネスの要素のキモのお話。

テーマは、「キャッシュ・ポイント」。
つまり、どこでどのようにお金を懐に入れ続けるか、についてです。

早速、社会的企業として著名である、大里綜合管理株式会社の野老真理子社長の経営から学びたいと思います。

大里綜合管理会社は、千葉県山武郡大網白里町にあり、資本金1,000万円、従業員数24名の会社です。

土地、建物の管理・売買、リフォームやその他の生活関連支援業の本業とともに、企業と地域社会との融合を図るため、ビーチ・駅前広場等の清掃や文化・教養講座の主催、学童保育、コミュニティ・レストランの運営などの地域環境の整備に 関する社会貢献事業に力を入れています。

実際、社に訪問させていただくと、本業より、地域おこしや地域環境の整備の社会貢献事業に、スタッフの時間やお金・エネルギーを割いてるような印象を受けました。

実は、わが社でも、ホソボソと、地域のおもしろい人材を講師とした「いちのみや大学」を立ち上げて活動しています。また、将来的には、地域の人が集まれるスペースを創り出したいと希望しており、そうした活動すべてを“会社”という器を通して実践している野老社長の経営方法に大変興味を持って取材させていただきました。

さて、みなさん、この会社のキャッシュ・ポイントはどこだと思いますか?

時間のある方は、キャッシュ・ポイント確保に重要な事業を、この会社のホームページから探ってみてください。非常に勉強になります。
http://www.ohsato.co.jp/index.html

実際に、会社の財務資料を見せてもらったわけではありませんので、推測にしかすぎませんが、一番、安定的に確保している同社のキャッシュ・ポイントは、不動産管理事業だと思われます。

特に、老後の移住先として、同社の営業範囲である大網町や山武郡一帯に土地 購入したものの、土地のメンテナンスのため現在の居住地である東京近郊からは頻繁に訪問ができないオーナーに対し、年2回の草刈り、4回の見回りをして、きれいになった土地を写真に撮って郵送するサービスを行っています。

現在管理している区画は、8500区画です。一区画あたり年間手数料が1万5千円程度。単純に計算すると、その事業だけでなんと年あたり1億3千万円弱のキャッシュ・ポイントがある、ということです。

一旦、契約が成立すると、比較的長期にわたりキャッシュインが見込めるこうした事業を持っておくのは、経営上の強みです。25名程度のスタッフの生活の糧の一部を賄う安定したキャッシュフローを確保していることになります。実際、リーマンショックの前後を通し、売上高は5億円であまり変動はない、とのことでした。不動産売買という手数料商売は、景気に左右されますが、草刈り等の不動産管理業であれば、比較的安定したキャッシュ・ポイントと言えるでしょう。

また、実は社会貢献事業と本業との間には、強いリンクがあります。

現在、2010年度現在、129もの社会貢献活動を行っています。職員一人あたり、5つの活動を担当していることになります。

こうした活動に、同社のスタッフととともに参加する地域の方々の中から、この会社のファンになる人も増えています。すると、何か不動産に関連することをお願いしたい時が生じた際には、顔がわかっている同社に依頼する等、結果的に本業へと繋げることができます。

また、駅やビーチなどの清掃活動を通して、あるいは文化・音楽イベントの開催を通じ、「住んで楽しい・きれいな町」という地域自体のエリア価値を高め、その結果、その地域の不動産価値を間接的に高めることに繋げています。これも、長期的には、本業へとリターンがあることでしょう。

100年、200年と続く、地域から愛される会社をめざす。
お客さんに愛されてこそ、またキャッシュを確保してこそ「ビジネス」は成り立 ちます。

ソーシャル・ビジネスの先達から学んだことは、私自身、非常に大きいものでした。

http://www.kagaribi.co.jp/GeneratedItems/122genkou.html (↑詳しくは、別の方が取材された記事もお勧めです。)

国際協力事業ホームページ 有限会社人の森