人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2007/07/19号

サンツ中村橋商店街振興組合 「森のレストラン」
「サンツ中村橋商店街振興組合」の町おこし

レポーター:野田さえ子(中小企業診断士)

成功の法則

 学生時代によく自転車で通った東京の西部池袋沿線 中村橋駅前を20年ぶりに訪ねてみました。2007年5月26日(日)。この日の中村橋駅前の商店街は、ちょうど駅前広場完成記念のお祭りの最中で、多くの人でにぎわっていました。

 地元の人たちによる阿波踊りに始まり、手品などパフォーマンスがくりひろげられ、ここ数年建築ラッシュだった高層マンションの住民もくりだし、大賑わい。商店街の店舗を5店まわると2回抽選ができるというスタンプラリーも長い列。抽選会の商品は、練馬区内共通商品券で、地消の工夫もなされています。

 「開かずの踏み切り」として名高かった西部池袋線の線路が高架となり、線路下にスペースができ、西友などの大型店がそちらに移転。開いた土地を商店街振興組合が中心となり、行政の補助金を活用し駅前にちょっとしたバリアフリーの広場をつくったそうです。

 「サンツ中村橋商店街振興組合」は約90弱の店主が加盟。東京にある商店街振興組合としては小規模の部類でしょうか。会費は、4000円/月程度。活性化事業用として、メイン通かそうでないかに応じて1000円~2000円の会費を集めているそうです。平成6年に第一次活性化事業として、多機能(放送機器や監視カメラ付き)の街灯設置を行い、平成7年には、第二次活性化事業の一環として、町のイメージアップのために商店街のマスコット 「ニャンピー」をうみだしました。

 高円寺の阿波踊りのように、120万人の集客ができるイベントともなると、「東京高円寺阿波踊り」のロゴを商標登録し、独自グッズの開発や、商店街個店の商店へのロゴ使用について売上額ベースで課金する制度が発展性をもちますが、中村橋の規模ですと、こうした制度は登録料の値段からすると元は取れない模様。ニャンピーは現在、お祭のイベントや、街灯、商店街のおせんべい屋さんの焼印などに登場し、商店街のシンボルとして頑張っています。

商店街振興の成功の秘訣

ステークホルダー(自治体・商店街・町内会・鉄道事業者・議員)との関係づくり

 駅前広場が実現したほか、建物の用途規制や街路のバリアフリー化など、地域の声を生かしたハード整備が着々と進んでいる秘訣は、隣接の商店会や町内会、鉄道事業者、行政も巻き込んだ「まちづくり協議会」が機能していること。これもサンツ中村橋商店街振興組合の呼びかけでスタートしています。

 たとえば、うまくいかない商店街は町内会と仲が悪い、とよくいわれますが、こちらの商店街振興組合では、町内会をはじめ、行政などのステークホルダー(関係者)と密接な協力体制が、商店街おこしの鍵となっています。また、初代理事長さんは、区の議員さんとのおつきあいは「超党派でいこう」という方針のもと、特定の党派にしばられない活動を行い、これが商店街振興組合の支持を集めたようです。

他の商店街に勉強にいく。

 活性化委員が中心となり、バリアフリーの道路デザインなど、他の商店街を視察に訪れています。歩道と車道との段差がない、中央排水溝に水が集まる仕組みのデザインを、世田谷の松蔭神社通りや武蔵境通の商店街を参考にし、こちらの商店街の道作りのデザインに活かしています。

大型店舗との共生

 通常、スーパーなどの大型店舗の誘致にあたり、地元の商店街との摩擦が報道などにみうけられますが、こちらの商店街ではこの問題もクリアしています。もともと、西武線沿線ということもあり、西友は受け入れられている土壌がありました。また、同商店街は買い回り品が多く、生鮮食料品店がもともと少なく、組合としても積極的に誘致した経緯がありました。経営資源の補完をおこなったのです。

商店街振興組合に加入に賛同しない店舗とのおつきあい

 練馬区では、商店街振興組合に入るよう条例化を図っており(強制力はないらしいが)、地元の商店街振興組合に通常加入しないという問題を残しがちなナショナル・チェーン店の加入を後押ししています。

 また、商店街振興組合に加入しない店舗は別の商店街として残り、積極的な店主が中村橋商店街振興組合に加入し、支えています。

地元のリソースとの提携~行政とアニメプロダクションとの連携

 練馬区は、知る人ぞ知る、テレビアニメの発祥の地であり、ちばてつや氏などの漫画家の永住地、東映アニメーションなどの数多くのアニメプロダクションが居を構えるアニメ産業の集積地なのです。商店街振興組合ののぼりにも、この地元の資源を活かしたつくりです。(練馬区が作ったようですが…)

発展的な事業を試みる~コミュニティ・ビジネスの運営主体 「森のレストラン」

 中村橋駅前商店街から数分のところに、練馬区立図書館や美術館、東京中高年齢労働者福祉センターなどが集まる区の施設があります。この緑に囲まれた一画にある練馬区立サンライフ練馬内2階に、商店街振興組合有志が出資した会社によって運営される、「森のレストラン コメルサンツ」があります。「自宅の食卓のように普段着で日常的に利用してもらえるレストラン」というコンセプトのもと、商店街振興組合女性部長を中心にメニューを開発。食材は地元の商店街からも積極的に取り入れ、市価の8割~9割程度のお手ごろ価格でのメニューを提供しています。

 昼間は、同施設のトレーニングルームや貸しホールを利用する中高年やファミリー層でにぎわっています。ビールとともに、お刺身や海草サラダ、揚げ物を堪能させてもらいましたが、家庭の味で、子ども達を連れても気兼ねしない雰囲気が人気の秘密ではないかと思いました。区の施設内の地域住民の出入りがある施設という利点もあり、店舗賃貸料は売上の5%のみという区の特別な配慮と、以前に入っていた食堂の食器などが残り初期投資額が製氷機と冷蔵庫などだけだったという幸運も、事業の安定化につながっていると思います。 区の空施設と、商店主の資金力・経営のノウハウ・ネットワーク力とが提携した好事例です。

 悩みは夜の部の売上が少ないこと。客層が、昼間に施設を利用する客が中心で仕方がないのかもしれませんが、近隣の新興マンションに居住するファミリー層をターゲットとし宣伝すれば、子ども連れでも安心して入れるレストランとして繁盛するかもしれません。あるいは、宅配もビジネスチャンスとしてはあり、かも。事業の発展性も、商店街の活性化や行政の信頼の蓄積につながっています。

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