人の森国際協力>>アーカイブス>人の森通信2007/08/17号

オルター・トレード・ジャパンがなしえたもの

by 野田さえ子

先日、バングラデシュ、ネパール、カンボディア、ラオスの人々とともに、少々変わった企業を訪問する機会を得た。

(株)オルター・トレード・ジャパン。バナナや砂糖などを輸入する会社である。資本金9,000万円。取扱商品はバナナ、エビ、砂糖、コーヒー、塩など。(オルター・トレード・ジャパンのフェアトレード商品紹介はこちら

この会社は普通の貿易会社ではない。日本ネグロス・キャンペーン委員会というNGOが母体となっている、“民衆交易”会社である。

もともとは、フィリピン ネグロス島から始まった。水田からサトウキビ畑へと転換が進んだ1980年代、砂糖の国際価格の暴落を受け、砂糖産業に依存していたネグロス島は大打撃を受けた。多くの砂糖労働者が失業。飢餓状態の子どもたちがあふれるなか、1986年6月、同NGOの活動は食料品や衣料の緊急援助からスタートした。

その後、中長期の視点から、生産と消費の場をつなぐ交易を通じて「現状とは違う」、つまり「オルタナティブ」な社会のしくみ・関係を作り出そうと、1989年10月、生協や産直団体、市民団体により設立されたのが、オルター・トレード・ジャパンである。

ネグロス島で昔から作られているマスコバド糖という黒砂糖の輸入から始まり、現地の環境への負荷が少ない、現地の人々があまり好まない種であるバランゴンバナナの輸入を始めた。

当時を知る人の話によると、その頃はまだ小さなオフィスで、輸入途中で真っ黒に変わり果てたバナナの箱を前に数人のスタッフが頭を抱えていたそうである。しかし、18年の試行錯誤の末、今や売上高16億。従業員数18名の会社に成長している。同会社が輸入するバナナの栽培者だけでも30,000人。ネグロス島の人々の生活の一部を支えている。

成長の秘訣は、企業理念に賛同する顧客が増加したという市場機会があったこと、また、マーケティングとしては、会員数30万世帯を有するグリーンコーポ連合や、94万世帯を有する首都圏コープ事業連合などの生協へのアクセスや、現在有機野菜と個配で成長を続ける「らでぃっしゅぼーや(株)」などへの販売ルートを有していること、また、生協広告欄を利用して商品への思いを伝え、差別化されたプロモーションができたこと、などとテクニカルにいえば多々ある。

しかし、やはりその商品の後ろに「ストーリー」がある、ということである。そしてそのストーリーに共感して、懸命に働くスタッフの思いがある。また、それをともに支え、購入する人がいる。

バランゴンバナナを1ついただいた。小ぶりで、甘酸っぱく、素朴であるが、そこの裏にある多くの人々のストーリーが広がっていく、そんな味だった。

詳しくは オルター・トレード・ジャパンHPへ
  http://www.altertrade.co.jp/index-j.html

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