人の森国際協力>>アーカイブス人の森通信2012/10/08号

マダガスカルの土地は個人所有

reviewed by 野田直人

アフリカ大陸の国だと、一般的に伝統的な土地の利用や配分の仕組みがまだ根強 く残っているところが多いです。例えば族長や、あるいは村に土地が所属し、住民は利用権を分配してもらうなどなど。マラウイの場合、多くの土地は族長に属し、村長が権限委託を受けて村人に利用権を配分しています。セネガルやタンザニアでは多くの場合、村が土地を管理していて村の長や村長が土地の利用権を配分します。

こうした利用権の分配がなされている土地では、使っていない土地は誰か使いたい人にまわされるのが一般的です。逆に言うと土地の権利を確保するためには、常に使い続けなければならない、というようなことがあちらこちらの国でありました。

ところが、ここマダガスカルで先日見かけたのは、幹線道路に比較的近い村の中で、かつては畑地だったと思われるところが放置されている場所でした。すぐ隣は畑や果樹園になっており、利用価値は十分にあるにもかかわらず放置されています。

そこで、その土地の隣で農業をやり、苗畑を持っている人に「ここはなぜ放棄されたのか?」と尋ねてみました。

すると、「元々耕作していたオーナーが死亡し、相続した人は近くにいないので、結果として誰も使っていない。」という答え。

他のアフリカ各国では、持ち主が使っていなければ、誰かが勝手に使う、ということもよく見受けられました。ですから、「え?こんな良い土地を所有者じゃないからと言って誰も使わない?!」というのが正直な感想。

つまり、多くのアフリカの国々では所有権と利用権を分けて考える傾向が強いと思うのですが、ここマダガスカルでは、所有権と利用権をセットとして考える傾向が強いようです。日本のようですね。基本的に他人のものには触らない、とい う。

マダガスカルには水田地帯もあり、水利組合もありますから、共同で作業したり、何かを管理したり、ということがないわけではないですが、かなり個人あるいは世帯単位で生産や経済活動を行う傾向が強いです。

以前世銀などがグループでの植林地所有・管理を推進していましたが、参加している人ですら 「土地をとられた」「木が自分のものにならない」と感じている様子で、処分権が個人に属さないものは「自分のものではない」と受け止めているようです。

マダガスカルの土地登記は、今,登記所の整備がやっと進められているのが現状。 つまり多くの人の土地は、まだ法的に所有権が保証されていません。このため、多くの土地は所有権が確定していないと思われてきましたが、どうやら住民の間ではそうではなく、「誰の土地」かが明確になっており、住民にとって所有権の曖昧な土地はほとんどないことが分かってきました。

国際協力では、グループ化とか、組合作りとかよく勧めますが、マダガスカルでは基本的に個人あるいは世帯ベースで意思判断ができるように進めることが基本であるようです。

 



 

 

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