人の森国際協力>>アーカイブス人の森通信2013/06/17号

コラム「JICA国内研修でインパクトをあげる工夫」

by野田直人

前回、JICA国内研修の質的向上について書きました。今回は、JICA国内研修で実際にインパクトを出して行くための工夫や提案を書いてみたいと思います。ここからは、人の森などの受託機関だけでは対応ができず、JICAとしての取り組みが必要な内容も含まれています。

1)ある程度の地位の人を対象とする日本のプロジェクトや青年海外協力隊員などのほとんどは、現場レベルで仕事を しています。そのため、日本に研修のために派遣されてくる人たちの多くは現場レベル、技術者レベルの人たちです。

特定の技術を学んでいただくのであれば、もちろん現場レベルの人たちが適任ですが、対象国である程度広くインパクトを出すためには、中央官庁で政策立案にあたる人たちを研修対象とする必要があります。

例えば農業などの普及メカニズムを改善したい場合、現場レベルの人たちだけを研修対象としても、国の方針の枠組みや予算の枠組みを変えることができず、インパクトが限られてしまいます。高いレベルので「起案」を行える人を研修対象 とすることが不可欠です。

2)一機関から複数の人に参加していただく研修受講の機会の公平性をきするため、複数の国や、同じ国の複数の機関などに受講者を割り振ることがよくあります。

ところが、国内研修で新しい知恵を学んだ研修員が帰国しても、同じコンセプトを知る人が周囲におらず、孤立無援で新しい取り組みに繋がらないことが多いようです。

できる限り一つの研修には同じ機関から複数の人を招待するようにすれば、帰国後に日本で学んだことが活かされる、あるいは組織の記憶(institutionalmemory)として残る可能性が高くなります。

3)関係する日本人も一緒に研修を受けるこれは上記1)2)に比べ、もっとも実現が難しいものかもしれません。

昨今は協力内容が複雑化する傾向にあります。例えばアフリカに数多い一村一品プロジェクトなどは、住民組織化が得意な村落開発を得意とする専門家だけでは実際には対処できません。住民向けの普及方法から、地域ブランディング、流通 やマーケティング、さらには中間組織の構造や機能などなど、多岐にわたる要素が含まれています。

全てに対応できる日本人を現地に派遣することは困難ですから、住民組織化にノウハウがあっても地域ブランディングは経験がない、あるいはマーケティングはわかっても流通組織の構築はわからない、といったことが現実のように思われま す。

今までは「特定の分野への特化」が技術協力に必要な専門家だとされていましたが、現在求められているのは「幅広い分野にわたる知見」であるケースが多くなって来ていると思います。

05/29号で紹介したベレテ・ゲラ参加型森林管理計画だと、「森林管理」だけの専門家ではとても対応できず、マーケティング、バリューチェーン構築、地域ブランディング、協同組合といった幅広い知見を使いこなして成果をあげています。

国内研修を、日本人スタッフにとっても知見を広げる機会として、現地スタッフと一緒に受講していただくことができれば、前提となる共通理解が得られますから、その後の現地での協力がスムースになると考えられます。

関係者の皆さん、いかがでしょうか?

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